また一年が始まる。

甘夏の出荷が終わって、ホッとしたと思ったら裏山の蜜柑畑は花盛りよ。春草が大きくなって草刈が大変だ。毎年、同じ事だが、今年も1年生のままよ。百姓は皆同じだろう。大雨や日照り、害虫や病気、何があるか分からない。年取ってる間がない。ヒイヒイ言ってやるしかないわな。

自慢の百円売り場では、たくさんのお客さんに恵まれた。会話もあって、気軽な世間話と、たまにはアンテナショップとして機能した。トントンで儲けはないけど、元気でやってます感はあったと思う。スーパーマーケットの売り場ではなく、農家直営の強さよ。と言っても周辺には農家の百円売り場はなくなっていた。

私は村八分だからさ、余計に非難のターゲットにされているんだろうね。昔は由良港で廻船問屋に関わっていたと聞く。大量の古伊万里などの食器が箱に詰められて積まれていた。祖母はせっせと売りさばいて生活費に充てたという。まだ大皿が数枚積まれている。お客さんが来た時に、たくさんの熟れ寿司を盛って出したんだろう。

我家にも繁盛した時代があった。私の一人暮らしは、その結果だろうと思っている。祖父も、エラク人嫌いだったからね。代々、個性派の人だったようだ。母は、初めてこんな閉鎖的な家に嫁に来たとかで、驚くことばかりだと言っていた。外部から見ると、そんなことになるらしい。

私にはそれが分からない。内部にいるとさ、外部の人から見える感覚が分からないようだ。どこまでやれるか分からない。やれるところまで頑張るつもりだよ。