村正の刀

何度か村正の刀を手に取って鑑賞させていただいたことがあります。薄身で、独特の物切れのする波紋がノタウッテいる危なさを感じたものでした。

一ツ胴裁断とか、二ツ胴裁断とか、昔の人は切れ味を試したわけが分かるような気がします。私はそんな刀は持ちたいとも思わないけどね。しかし現実には、山野嘉右衛門の裁断銘の入った刀を大事にしている人も多い。

三島由紀夫が六本木で腹を切って、首をはねられた事件はもう遠い昔話になったけれど、あれがもし、村正の刀だったら、楽に一振りで首が落ちたものなのに、と私は思いました。

11/24日、両国で日刀保の全国大会があります。参加費は高いけれど、毎回楽しみにしています。村正の刀も出品されているでしょう。刀剣博物館にも行ってみよう。

なれずしを作ってみた。

秋祭りの頃になると、なれずしが食べたくなります。子供の頃は毎年、父と母がたくさん作って食べさせてくれました。最近は隣町のなれずし屋さんで買っていますが、一つ1600円もするし、我が家の味とは少し違って商品としての鮨になっています。

それではと思って秋サバを3匹買ってきて、三枚にして、20日間塩漬けにして、1晩もどして、アセの葉で古米のご飯と鮨にしてくるんで、さらに5日間、熟成を待ちました。大失敗ではないけれど、違うな。

親父たちは裏山の大岩という天然記念物の化石の岩山から切り出してきた30㎏ほどの石を4つも5つも置いてカチコチな鮨にして、桶のふちにトロリとした水が上がってきたら食べごろとしていた。古代の化石のダシが効いていたと思う。

私は398円の安物の活けサバを使った。出来たなれずしを食べてみると塩味が残っていない。ご飯の部分にも味はない。ほんわかと生暖かくなっているけど、よくも5日間で腐ってしまわなかったものよ。

アセ(笹の葉)で包みきれないのでバラン(大きな葉っぱ)で包んで、麻で縛って鮨の形にするんだけど、その手間を省いたのがいけなかった。露出したご飯の部分には黄色いカビが付いていた。

とくに腐敗臭はない。熟れ鮨、特有の甘酸っぱい香りが微かにする。男一人の料理だと思ってあきらめるしかない。8合炊いて作ったけど、どこまで食べられるものか。なんせ、なれずし独特の味がしない。

伝統文化は深遠で手の届かない過去の記憶、奥の深いものでした。