百円売り場をやっています。

母親がやっていた趣味の百円売り場です。ビシャコ、花、榊、蜜柑が主体かな。母の方が、目が詰んでいるというのか、小まめによくやっていたような。趣味だからさ、百円玉をレジ袋に溜めて、それを眺めて笑っていたものよ。べつに人に迷惑かけるでなし、晩飯のおかず代になればいいと思っている。

周辺の百姓たちもあちこちでやっていたけれど、今は私だけになっている。それで皆さん私の所に集中するんだろう。一気に押し寄せてくることもあって、なんせ一人でしょ。ビニール袋に詰める作業だけで精いっぱいだよ。めんどくさいからコンテナ一杯いくらだ、という人もいる。

それが3千円だったり、2千円だったりするものだから、いいかげんなものよな。その時々によって、蜜柑の品質が違う。相場のこともある。年末になると高くなるからね。毎年、前ページに書いた渋柿がよく売れる。見張っている人がいるようだ。「ゆら早生」の時のように、あっと言う間になくなるのだ。

しょせん一袋百円だからさ、大したことではないんだけれど、バカ売れしたら面白いわな。値上げの事なんか考えたこともない。お客さんあっての商売だと思っている。商売? いや~、厳しいな。仮に一日1万円あったとして、肥料代、農薬代、農作業の手間を差し引くと半分も残らない。

1㎏入りで、百円だから(もっと安いかな)、採算なんかあるはずもない。趣味のコミニケーションだと割り切っている。だからか、母の方がたくさん儲けていた。あの時はバブルだったからさ、みんなお金持ちやったんやね。若かったしな。オッと、私も十分に年取ったみたいだ。

来年の春先、三月までやっています。よかったら覗いてみてください。メッセージがあれば電話か、銭入れのカンカンにメモを入れておいてください。お待ちしています。

渋柿が美味しい

甘くなると渋柿の方が美味しいと気が付いたのは最近のことだ。とくに皮をむいて、干し柿にするとその美味しさは絶品になる。冷蔵庫に保管すると日持ちもするし、天ぷらにすると、また別の料理になる。百円売り場に置くと、たちまちにして売れてしまうから、誰か見張っているようだ。

今年は、柿の柄を切ってしまっていた。気が付かなかった。大失敗だ。これでは吊るせない。お客さんの一人が、しょうがないから紐を通して吊るしてみるわ、と言っていた。申し訳ない。干し柿は傷をつけると致命傷だ。できれば笊のようなものに、転がしながら干すしかない。

久しぶりの失敗に、何か手はないかと思案している。富由柿は、そこそこ甘いから売れるだろう。でもすぐに熟して真っ赤になるからな。そうなったら渋柿にはかなわない。それぞれに持ち味があるのだ。カニは勝手に横に這う。昔の書棚に由良、開山、興国寺の絵葉書が残っていた。

もっとたくさんの場面があったはずなのに、一枚だけが残っていた。今は訪れる人もない山寺よ。由良の庄は、鎌倉時代は北条政子の荘園だったという。それでここには源実朝の墓がある。チョンマゲを切り取って埋めて墓にしたんだとか。可哀そうな人でもある。

オッと、我が家の寄進した鐘楼、釣鐘にも理由があって、親の供養のために、鐘の裏に親子の名前を白い文字にして書きつけたと聞いている。確認して見たけど何もなかった。子が親を殺す。昔はそんなこともあったらしい。三百年も昔のことだ。

我家にも昔はこんな経済力があったらしい。由良港には海軍があったのに、戦禍を逃れて残されている。シロアリの被害に遭ったと聞いたけど、大丈夫かいな。