ヘロドトス『歴史』を一気読みした。

なんか小難しいことをギッシリと書いてあるな、と思いながらも、夜中にゴソゴソしながら三冊全部読んでしまった。こまごましたことは忘れているけれど、結構面白かったからフンフンと言いながら読めたんだと思う。ヨーロッパのエリートたちは、常識的にこの内容は知っていると聞く。

日本人は全然知らないから、話のベースがどうしても合わないんだろうね。内容は紀元前500年頃のギリシャ社会で、ペルシャが攻めてくるときの英雄物語よ。と言っても誰も知らないな~、マケドニアのアレキサンダー王か、でも時代が違うから別人だろう。

ピラミッドは出てこないし、シュリーマンの『古代への情熱』の時代でもない。キリストだのイスラムだの言う宗教もない。巫女が託宣するという。やはり日本の古代史とは違う。歴史と言うのは、ホントにいろいろな出来事が積み重なっているんでしょうな。

そんな中で自由を求める生き方、民主主義を理想として西欧社会は成熟していく。けれど責任回避の平民は奴隷だと嫌悪する。そうそう、ハリウッド映画でも、「なんだ、奴隷の言葉か」と言うセリフがある。この辺に彼らの価値観が見えるのだ。こんな道徳観念が、どっさりと書かれた戦争の殺戮の中で描かれている。

西洋人を理解するためには良い本でした。彼らが、いったい何に価値を置いているのか、少しは勉強になった気がする。司馬遷の『史記』も面白いけど、この本も読むべき価値はある。日本に、こんな歴史書がないのは残念だ。日本書紀など、身近な内輪話に思ったよ。