渋柿が美味しい

甘くなると渋柿の方が美味しいと気が付いたのは最近のことだ。とくに皮をむいて、干し柿にするとその美味しさは絶品になる。冷蔵庫に保管すると日持ちもするし、天ぷらにすると、また別の料理になる。百円売り場に置くと、たちまちにして売れてしまうから、誰か見張っているようだ。

今年は、柿の柄を切ってしまっていた。気が付かなかった。大失敗だ。これでは吊るせない。お客さんの一人が、しょうがないから紐を通して吊るしてみるわ、と言っていた。申し訳ない。干し柿は傷をつけると致命傷だ。できれば笊のようなものに、転がしながら干すしかない。

久しぶりの失敗に、何か手はないかと思案している。富由柿は、そこそこ甘いから売れるだろう。でもすぐに熟して真っ赤になるからな。そうなったら渋柿にはかなわない。それぞれに持ち味があるのだ。カニは勝手に横に這う。昔の書棚に由良、開山、興国寺の絵葉書が残っていた。

もっとたくさんの場面があったはずなのに、一枚だけが残っていた。今は訪れる人もない山寺よ。由良の庄は、鎌倉時代は北条政子の荘園だったという。それでここには源実朝の墓がある。チョンマゲを切り取って埋めて墓にしたんだとか。可哀そうな人でもある。

オッと、我が家の寄進した鐘楼、釣鐘にも理由があって、親の供養のために、鐘の裏に親子の名前を白い文字にして書きつけたと聞いている。確認して見たけど何もなかった。子が親を殺す。昔はそんなこともあったらしい。三百年も昔のことだ。

我家にも昔はこんな経済力があったらしい。由良港には海軍があったのに、戦禍を逃れて残されている。シロアリの被害に遭ったと聞いたけど、大丈夫かいな。