百姓の盆よろこび

農家には昔から伝わる百姓言葉がある。稲作は今、花掛け、と言って白い花が咲いている。田植えをしてから刈り取りまで三月と十日。花が咲いたら一月後に稲刈りとなる。オッと、それまでに、籾に、コメになる乳がたまっていく。この乳を吸いにカメムシがやってくる。ウンカや紋枯れ病もある。10日後に消毒やな、と思いながら暑さに参っている。

今年は梅雨の長雨に祟られて、どうも出来が悪い。我が家では、1反に、8俵(60㎏×8)を目安にしている。10俵採れる時もあるけど、まぁ20年に1回やね。山から田んぼを見下ろすと、スカスカの稲穂が、地面の土まで見せてくれる。6俵あったらよいとせなあかんね。私が子供の頃は、せいぜい6俵だったんだから、毎年出来過ぎたんだろう。

ミカンもよくできている。もうイノシシが来て、ミカンを食い散らしているから油断も隙もない。かなりやられたよ。みかん畑の上では、地滑りが来て、農道が吹き飛んだ。最初は3mほどの段差だったものが、今日は7mほどの崖になっていた。毎日、地下の、すべり面に沿って畑が動いている。せっかく農道を修復しても、すぐにまた破壊されてしまう。

土木科を卒業したからね。山全体がすべり面に沿って動いていく、地滑り現象はよくわかっている。そうだ私は建設コンサルタントをしていたのだった。杭を打っても止まらないのさ。普通、百姓は盆が来ると、やれやれ半分まで来た、と一息つく。昼寝の習慣も百姓の特権よ。お墓の掃除もあるし、難儀なことになっている。