ザクロの赤い花、

裏山には毎年ザクロの赤い花がよく咲いている。ほったらかしだから実はたいして美味しくないし、小さいのがぎっしりと付いている。ジュースにしてウォッカを割ったり、カクテルにする程度か。薬になるかもしれないと思っている。モモは昔、大きい木が二本あったけど、枯れてしまった。それで新しいのを植えると、すぐに花が咲き、実が大きくなっている。これは長寿の妙薬だと聞いている。

ザクロと桃かぁ、健康で長生きしなきゃな。最近は通りかかる人も少なくなった。年寄りはあらかた死んでしまった。私がそれだけ年取ったわけだ。風力の被害で、すっかり嫌われ者になっているからね、世間話の相手もいない。由良町、大字門前、伊賀田という。「モンゼン」の名は、千年前に興国寺が出来てからだから、「いがだ」の方が古いのかもしれない。

旧熊野街道沿いでな、後白河法皇なんかも通ったに違いない。有間皇子とか。私がこんな趣味を楽しんでいるのを人々は恨めし気に見る。雅な文化が羨ましいんだろう。学歴やカネ、ビジネスは努力したら手に入る。しかし家柄や歴史はもう決まったものだ。あくせくしたら笑われる。ここまで生き延びた。周辺の家は急速に消えていく。人口がドンドンと減っていく。50年前の半分だ。

風車さえなければと思う。政治や行政の酷さに辟易する。裏山の墓地には戦死者の墓が無数に林立する。何も言えなかったんかい。虚無。呪い。悔しさ。私だけではないだろうに。